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ゲーマーコントラバス奏者の雑談2

【音楽話】弦の振動パターンを切り替えるボーイングの話

たまには、コントラバス奏者っぽい事を呟こうと、

昼間にこんなツイートをしたのですが、

よくよく考えると、ブログにもコントラバス奏者っぽい事を書いてないなと思ったので、


なんとなく追記事項を含めて書きたいと思います。笑



例えば、楽器を演奏していて、

『なぜ、ここが上手く弾けないのだろう?』と思う事があると思うのですが、


練習しても中々弾けない場合、別の角度から考えたほうがいい場合があります。



今回紹介したツイートでは、エクレスのソナタ、4楽章の最後の方に出てくる、

ソシシレレソの音についての話をしていますが、


そもそもIMC版(インターナショナル版)のZIMMERMANNによる編曲では、

ツイート内の様な2オクターブ上行する音では書かれていません。

(大人の事情もあるので譜面は貼りませんが)

それは、元々原曲のバイオリン譜がそうなっているからだと思います。


ですが、今日のコントラバスソロでは、動画の様に2オクターブにまたがる音形の方が、割とメジャーに弾かれています。(なんででしょうな)



という事で、2オクターブ弾く為という前提での話です。


ツイート内に“弦の振動モードを通常からフラジオに切り替える”と書いてありますが、

これを理解する為に以下、説明したいと思います。


弦楽器には、弦というものが当然張ってありますが、

この弦の音程を変える為には、大きく二つの方法があります。



ひとつは、弦の長さを指で押さえて変える事で、音を高くする方法。

これは、普通に指で押さえるという事です。


理科で習う通り、弦の長さを短くすれば、音は高くなります。

張ってある、決められた音程(コントラバスのオーケストラチューニングであれば、GDAE)をそれぞれ、押さえる事で音の高さを変えていきます。


弦楽器の音は、この動作を縦横無尽に使い、音楽を作っていきます。



そして、もうひとつ。

今回の話と関係の深い、フラジオレットの技法です。


これは、弦の長さを短くするのではなく、

震える弦の長さは同じまま、

『波形のパターンを指で強制的に変える』事で、音を高くします。


厳密には少し違うかと思いますが、


イメージとしては、弾力性のある一つ大きな円弧があったとして、

それの中央を指でグニッと浮かせる程度に凹ませると、

中央で分割された、二つの円弧になる

=弦の長さが2分の1と同等の音程がでる


という事だと思います。

これはあくまで上駒から下駒まで、1本まるまる弦は震えている為、

押さえた部分の一点以外に少しでも触れてしまうと、上手く鳴りません。

(逆にある一定の箇所に触れる事で更に高い波形に強制する人工倍音という技法がありますが)


フラジオレットの指を浮かせて触れるのは、完全にそこで弦を分断しないで、

あくまで上駒から下駒まで振動させた状態で、

波形のみを変える為です。


試してみるとわかりますが、

指で押さえた場合は、その上方を触っても下方で鳴り続けますが、

フラジオレットで半押さえした場合は、上方を触ると振動は全体が止まります。



と、理屈はこういう事ですが、

上記の通り、通常の押さえ方とフラジオレットでは、


弦の震え方、特に振動の到達部分、上方部分を押さえているのが、

指なのか、上駒なのか、という点が全く違います。


なので、例えば、

普通に押さえて鳴らした音の直後に、フラジオを使おうとすると、

押さえていた指の上方部分は振動していなかったはずなので、


指を離してフラジオレットに切り替えた際、

上方部分に弦の振動がまわるまで、一瞬のラグがおきます。

文章では伝えにくいですが、


指で押さえた音→(開放弦全体への振動→)開放弦を強制したフラジオの振動に切り替え


という、ほんの一瞬の開放弦的振動が挟まれます。


この為、最初にツイートで話しましたソシシレレソの部分ですが、


シまで押さえてレとソをフラジオで行くか、

レまで押さえてソをフラジオで行く人は多いんじゃないかと思いますが、


どちらにせよ、その切り替えで上記の振動が全体にまわる為のラグがおきて、

鳴りが悪かったり、裏返ったり、

普通に弾いていたら起きない、変な音が出てしまうかと思います。


曲が速い時、こういった弊害があります。


その為、自分としてはIMC版に書かれている、

2音ずつスラーで弾く、という事をやめて、

(そもそも違う音弾いてるしな!)

押さえている音からフラジオに切り替える音に合わせて、

弓を擦弦し直すことで、押さえている音の振動パターンを一瞬停止させて、

弾き直す事でフラジオレットのモードに切り替える、

という方法をとると、


こういったエクレスの4楽章の様な、速い楽章でフラジオが入り乱れる際、

安定した発音を確保できるのではないかと思います。


ボーイングは、振動パターンを停止させ、変更するという要素も持っているので、

こういった、楽器の機構に合わせたテクニックというのも、

今後、覚えておくと便利かもしれません(何目線)



という事で、ちょっとコントラバス奏者っぽいブログでした。笑


恥ずかし。



余談ですが、

なんか自分にレッスン受けたいって人が、どっかにいたという話を先日同業者より聞きました。(なぜか俺までその話が届いてなかったけど…笑)


基本は顔つながりの口コミで依頼受けてますが、

HPのお問合せからもご相談受け付けておりますので、

ご興味ありましたらお声かけ下さい!


お力になれれば幸いです。

橋本 慎一



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