【雑記】ブルージャイアントの映画を観て思った事の話
先日、ずっと知人にオススメされていた映画、
『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』
を観てきたので、その話をしたいと思いますが、
例によって、映画の雑記を書くときは、
ネタバレ全開です。笑
是非、観てから下記読んで頂ければと思います!
ちなみに今回は考察というか、ガチ主観の感想ブログです。笑
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まず映画自体の感想から書くと、
後半、おじさん泣きそうでこらえるの必死でした。笑
久々に大分グッと来た映画、大変観てよかったなと思います。
この文章を読んでいる方は、きっともう観た方だと思いますが、
一応、映画内の話筋を書いておくと、
サックスに目覚めた高校生の宮本大が、世界一を目指す為に東京に上京した後の話。
宮本大と同じ18歳でありながら、天才肌で既に13年ピアノを弾いてきている凄腕の沢辺雪祈と出会い、
また、高校時代からの友人で居候先となっていた家の主、玉田俊二のドラムへの目覚めにより、
JASSというジャズバンドを結成、主に映画内はその活動時の話が中心となっている。
と、簡単に書くとこんな感じですが、
まず演奏時のアニメーションの描写だったり、
凄まじく本格的なジャズ(そりゃガチな方々が音担当してるので…笑)、
そして今回ブログに書こうと思っていた“音楽活動のリアルさ”の表現。
とにかく、色々音楽をやってる身としては、
(もっと俺も練習しなきゃ…)
と改めて思わせてくれる映画でした。
さあ、ここまで読んでまだ観てない人は、
興味出てきたら一旦観て、それから下に続くブログを読んでね!笑
…という事で、
音楽家の視点で思った事をつらつら書いていきたいと思います。
とは言っても劇中音楽に対しての評論とかではなく、
主人公たちの生きざまについて。
音楽に誠実に取り組む大切さを良く表現している作品だなという印象でした。
そして、先ほども書きましたが、
(もっと俺も練習しなきゃ…)という気持ちはどこから沸き起こったのか。
3人のJASSのメンバーそれぞれを思い出しながら書いてみます。
まずは、宮本大の話。
彼の生きざまに対しての印象としては、
最近、宮本大ほど毎日果てるほど音出してないなってのと、
肺活量上げる為に3時間もランニングするとかいう無茶なトレーニングしてないなって事でした。
大がやっている事はつまり、どちらもサックスの為に“自身の限界”に向き合っているという事だと思います。
18歳って無尽蔵な体力があるので、まあ今俺らの年齢じゃ無理だよ…って当然最初は思いました。
が、
果たして本当にそうなのだろうか…?年齢を言い訳にしているのではないだろうか。
と、思ったソースが実はありまして。
ある仕事で遠征に行った時の事。
知り合いのコントラバス奏者の大分年上のベテランの方に、
「本日のお夕飯はどうなさるんですか??」
と何気なく聞いたら、
「ごめんね、今日はホテルの部屋で筋トレするので一緒できないや」
と。
その時は、筋トレ好きなんだな…笑
位に思ってたんですが、
翌日のリハの前、
楽屋でマッチョなその方の姿をみながら、
不躾ながら、なぜそんな筋トレするのか興味がわき、
「筋トレお好きなんですか?」
と聞き、その返答で本当に猛省しました。
「この歳になって若者と同等に弾く為には、体力が必要だ」
というのです。
そう、この方は“コントラバス”の為にストイックにも旅先ですら筋トレをしている。
宮本大の持つ、前に進む強さは、
この“コントラバス”の為に鍛えているこの方と、とても似ていると思います。
楽器に対して、音楽に対しての気持ちが、
実生活に大きく影響を及ぼすほど、インフレしている。そんな印象。
このインフレしてエクスプロージョンしたビビットなパワーが、
彼のジャズに対する、熱さや自由さに繋がっているのだろう、と思いました。
細かく書きたいですが、あの情熱はブログの文章では表現しきれないので割愛します。笑
映画内でのアニメーションの表現、言葉を使わずによくあんな真っ直ぐな表現が出来るなと思います。
では次に、沢辺 雪祈の話。
彼は幼少期からピアノをしていた故、演奏のクオリティを保ち安定させる自分の“型”が、
自身の心象表現する為の足かせとなり、「SoBlue」の支配人に酷評されるなど、
スタイルの改善に悩み苦しめる事になっていました。
これはクラシック出身がジャズを弾く時の弊害というだけではなく、クラシック教育の欠点の一つでもあると思います。
彼の大きな問題は、その『手癖』にあると思います。
少々毒のある発言になってしまいますが、個人的に、
クラシックの勉強をしていて、一番謎だなと思った事は、
「禁則」と呼ばれるものであったり、
「常識」として決められた演奏の仕方などです。
例えば禁則なら、
ギターなどではパワーコードと呼ばれる完全5度、
ドソを同時にズジャーーー!って弾いた後、
レラを同時に弾く事だって全然あります。
過去、コピバンをしていた頃も、
散々そういった曲はありました。
しかし、クラシックではそれは2声が同じ方向に動き、
かつ完全五度にたどり着く為、並達5度という禁則になります。
これは和声進行として美しくない、音が悪目立ちする等の理由で禁則となります。
クラシックの基礎練習メニューでは、
禁則を避けた進行や、音程≒度数に応じた課題、
スラーのトレーニングにしても、分散和音の様な、
“美しい”和声から派生するものが取り上げられています。
ですが、今や12音技法を越えて、無調もノイズもある時代に、
シンプルなスケールトレーニングだけで、真っ当に演奏なんて出来るのでしょうか。
少々過激発言だとは思っていますが、今まで自分が学んできた教則本の内容でカバーできるのは、
メシアン位までが限界なのではないかと思っています。少なくとも吹奏楽やゲーム音楽のジャンルは、それだけでは厳しいと思います。
話がそれましたが、彼のもつ『手癖』は、
クラシックの基礎を習得していく過程で生じる、“美しくあれ”という圧力が自由を奪い、
劇中でも登場する大のセリフ『雪祈のソロは毎回似ている』ゆえんであり、
“型”に縛られているが故の『小手先の技術での演奏』になってしまう部分なのだと思います。
またクラシックには、「常識」というものが根強くあります。
例えば、モーツァルトのアイネク。
当たり前の様に、ソーッレソーッレソレソシレーを弾きますが、
その際、まさか弓をアップボウから弾こうという人はいません。
ですが、なぜ、最初の音がダウンボウなのか、と改めて考えると、
それがモーツァルトの表現として美しい、とか、
クラシックの語法として正しい、とか。
ほとんどが、何か「常識」の圧力に支配されています。
だから、アップボウからやろうなどと、とても提案できません。
自分も、アップボウからやろうと言われたら、それなりに問い詰めるでしょう。笑
でも、ある日突然、アップボウから弾いた時、どんな音がするかなんて、
興味が出て、やってみちゃったら何か面白かった。みたいな事があれば、
もっとクラシックも自由で発展的な音楽になっていくのではないでしょうか。
クラシックの場合、作曲家の指示がある為、自由に表現する事は大変難しいと思います。
勿論、コンチェルトなどクラシックでも自由が強くある音楽もありますが、
基本的には集団競技な為、一人の個性だけを尊重した演奏というものは大変難しい。
でも、“面白い”と思わせる表現には、どこか天の邪鬼さも必要な気がしています。
今後、クラシックファンを増やすには、どこかで「常識」をぶち破るアーティストが必要な気がしています。
そして最後は、玉田 俊二の話。
これはもう、映画を観ての通りですが、
初心者から努力を重ねる根性が突出していると思います。
凄く印象的だった大のセリフは“最初は誰もが初心者だ”というものでした。
今、SNSなどをみていると、自分を越える上手い絵を描く人や、
凄いスーパープレイをする人、ギターやドラムでかっこよく演奏出来る人、
沢山いますが、
結局、自分がやりたいかどうか、だと彼の努力する姿をみて思いました。
また、玉田の初ライブにたまたま来ていたご老人。
途中のセリフで、“君の成長するドラムを楽しみに来ているんだ”という、
っまじ泣くセリフ…涙腺が…笑
そう、上手いスーパープレイだけが音楽の楽しさや崇高さではない、と思い出させてくれました。
とにかく極限まで上手くなければいけない、というのはコンクールとかの話であり、
本来お客さんが求めているのは、音楽の楽しさの方であり、
その楽しみのうちの一つが達人芸というだけであり、
別の視点からの楽しさも、音楽家としては伝えていかなければならない、
と思います。
特に最近はゲーム音楽オケなどで演奏させて頂いてますが、
もう明らかにお客さんがダイレクトに楽しんでくれているのが伝わります。
そして自分も弾いてて楽しい。
玉田 俊二は、“何かに夢中になりたい”という欲求不満を、
ドラムで宮本大や沢辺 雪祈とセッションする事で、
満たすことに成功しています。
勿論、プロとして音楽を美しく奏で、極め続ける事は大事ですが、
極限まで滅茶苦茶上手くなったとしても、
それだけでは、伝えられる音楽の楽しさは、ほんの一部なのではないかと、
今回の映画を観て、とても思わせれました。
滅茶苦茶上手くて、更に自由で、そして自分でやっている音楽が楽しい。
“音楽に夢中になっている”
この3人を見て、最近の自分は技術の鍛錬だけに走り気味だったな、
と猛省させられていました。
まあアイネクはダウンから弾くけどな。
少々話は変わりますが、
最近、ジャズのトレーニングを始めて真っ先に思ったのは、
基礎練習には体力がいるという事でした。笑
そう、長時間新しいジャンルの基礎を練習するには若さとフィジカルが足りない。
しかも宮本大の様に、3時間も走る時間は社会人としては正直厳しい。
そこで、
ブックオフです。(?
見つけました!
『リングフィットアドベンチャー』!!!
筋肉は全てを解決する!!筋肉は友達!!!
という事で、
『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』
を見終わった真の感想。
(ブックオフに、リングフィット売ってっかなぁ…)
でした!!!
以上!!!!
橋本 慎一
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